児童憲章について

児童虐待を考える際に

皆さんは「児童憲章」という言葉を知っていますか?なんとなく聞いたことはあるけれど、具体的に何のことなのかがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

児童憲章とは昭和26年5月5日に制定された宣言で、日本国内の全ての子供の健やかな成長を保障し、安心・安全に生活していける環境を提供していくことを謳ったものです。
昨今マスコミでも大々的に取り上げられて多くの方の関心を集めている児童虐待に関しても、この児童憲章の内容を児童の養育者が理解をしているのか、周知されているのかということが論点として挙げられるのではないでしょうか。
児童福祉に対する国民の意識を啓発するものですが、内容まで細かく知っている人は少ないのではないでしょうか。

子供は大人に守られるべき弱い立場の存在として社会の中に存在し、家族を含めた地域というコミュニティーの中で育てられていきます。現在、国の施策の中でも多方面から「地域コミュニティーの形成」「地域に根付いたネットワークづくり」などが進められている中で、児童の立場というものが何であるか、どういう位置づけになっているのかということについて改めて見直していく必要があるのではないかと考えられます。

    児童憲章のポイントは3点。

  • ① 日本国内に限ったものである
  • ② 児童福祉に対する国民の意識を啓発するためのもの
  • ③ 日本国憲法に謳われる基本的人権を子供も持っていることを示したもの
  • です。

これを踏まえたうえで以下に児童憲章の全文を掲載します。

われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

児童は、人として尊ばれる。
児童は、社会の一員として重んぜられる。
児童は、よい環境の中で育てられる。

一 すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。
二 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。
三 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。
四 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。
五 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。
六 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整った教育の施設を用意される。
七 すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。
八 すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。
九 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、悪い環境からまもられる。
十 すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。
十一 すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不充分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。
十二 すべての児童は、愛とまことによって結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。

※児童憲章は日本国内に限ったものであり、戦後に日本国憲法や児童福祉法をもとに定められたものです。児童憲章の内容を理解するためには、日本国憲法や児童福祉法の制定にどのような背景があったかということも理解していく必要がありますので、それについてはまた別にご紹介させていただきたいと思います。

お問い合わせページに移動

電話を掛ける